クレドミーティング導入事例 − 株式会社 大河内工務店(香川県三豊市)

「クレドミーティング」の導入効果を、株式会社大河内工務店 代表取締役の大河内孝氏にうかがいました。

目次
  1. 従業員が、自分達でクレドを完成させてくれた
  2. 受注棟数・売上高が前年比120%〜125%の伸びに
  3. 家が完成して引き渡す時、お客様が「寂しい」と涙を流す
  4. 社長はほぼ見てるだけ。従業員達が、想像以上に活発に発言してくれた
  5. 「クレド浸透ミーティング」で、アイディアの実現と課題の解決が加速
  6. 導入を迷っている経営者へのアドバイス
  7. 従業員のみなさんにもうかがいました

大河内工務店

香川県三豊市、観音寺市を中心に、木造注文住宅、リフォーム、およびガーデンエクステリアを手がける。

従業員:12名*(社員7名、パートタイム5名)。 *2011年6月現在

創業は1953年(昭和28年)。創業者 大河内秀夫氏(1931年〜)はその技術が評判を呼び、生涯で1000棟の家づくりを請け負い“伝説の棟梁”と呼ばれた。

ユニークなブランディング手法(カフェ&ギャラリーの営業、多彩なカルチャー講座の開催、大工さんによる夏祭りの開催など)で地域に溶け込み、信頼される工務店として、地元テレビをはじめ、様々なメディアにも取り上げられている。


創業者 大河内秀夫氏

本社社屋 兼 ショールーム
「大工館」

地域の交流スペース
カフェ&ギャラリー
「木きん堂」


代表取締役 大河内孝氏
1957年(昭和32年)生まれ。「棟梁だった父が講読していた建築雑誌がマンガ代わり」の少年時代を過ごす。丹下健三氏に憧れ、大学建築学部を卒業後、地元高松の設計事務所に就職。5年後東京の設計事務所に転職。在職中に一級建築士の資格取得。コスト偏重で「人の温かさ」が感じられない公共建築に、求めるものとの違いを感じ、28歳で大手ハウスメーカーに転職。設計部門に配属されるが、施主と一度も顔を会わない規格住宅の設計にやり甲斐を見出せず、建築専攻者としては異例の営業職を希望し、傘下の営業会社に29歳で出向。営業の最前線で「家づくりの厳しさ」、「家づくりに掛ける施主の思い」を肌で知る日々を送る。出向2年後、父秀夫氏の体調悪化を機に家業の工務店を継ぐことを決意。32歳で大河内工務店入社。「田舎では図面だけで偉そうに言うても職人は誰も動かんよ」との秀夫氏の言葉もあり、大工仕事をゼロから修業。通常習得に10年掛かると言われる大工技術を5年で習得する。大河内工務店を株式会社に改組した翌年の1997年(平成9年)、株式会社大河内工務店 2代目代表取締役に就任。

従業員が、自分達でクレドを完成させてくれた

-- はじめに、大河内社長の自己紹介をお願いします。

株式会社 大河内工務店 代表取締役、大河内 孝(おおこうち たかし)と申します。

“伝説の棟梁”と呼ばれた父、大河内 秀夫(おおこうち ひでお)の技と心を受け継ぎつつ、“お客様ご一家の幸せづくりとしての家づくり”を心がけての工務店経営に、日々精進しております。

-- 大河内工務店では、「クレドミーティング」をどう利用しましたか。

当社では、2009年、WISHパートナーズの「クレドミーティング」を導入しました。

導入後、計4日間の「クレド作成ミーティング」で、従業員達が自ら、当社の「クレド(※)」と「クレドベーシック(※)」を完成させてくれました。

クレド‥‥事業を行なう上での信条。「使命」、「事業価値」、「ビジョン」から成る。

クレドベーシック‥‥「クレド」に基づく日々の行動基準。

大河内工務店のクレド

一、 大河内工務店は、伝説の棟梁の技と心を受け継ぎ、お客様の健康で楽しい幸せづくりのお手伝いをさせて頂くことを使命とします。

 

一、 私たちは、お客様の心の声に耳を傾け言葉にできない願望、ニーズを感じ取り身近な親戚のように手間を惜しまずお客様の期待以上の住まいづくりを提供することをお約束します。

一、 私たちは、地域の皆様の幸せと子供たちの未来を常に考え、「日本一気持ちよい工務店!」を目指します。


大河内工務店のクレドベーシック

1. 私たちが提供する家は、伝統の技と心を活かし、強さ、美しさ、風合いを持ち、周辺の環境に溶け込みながら、見る人を「おっ!」と思わせるセンスのよいデザインです。

2. 私たちはいきなり「リビングは何畳いりますか?」とは聞きません。普段の生活シーンを思い浮かべながら詳細にお伺いし、住んでから家族が仲良く暮らすために楽しく集える空間、趣味やこだわりの空間をご提供いたします。

3. お客様と常に顔を合わせ、目を見て話が出来る、よい関係をまず作ることが大事であると考えます。お客様の「こんなこと無理かも知れないけど...」というような何気ないつぶやきを逃がさずくみ取ります。そして最後に「もう他にないですか?例えばここに○○しませんか?」という+αの提案を入れながら、お客様の要望を形にします。

4. 私たちはお客様にとって、それとなしに暮らしを見守りながら、困った時にはすぐに対応してくれる掛かり付けの町医者のような存在になります。

5. 日本一、気持ち良い工務店であるために、
一、気持ちの良いお迎え、元気な対応を行います。
一、清潔感のある身だしなみに気を配ります。
一、体に良い材料を使います。
一、ゴミひとつ無い現場環境を目指します。

6. 報告しないということは、仕事をしていないことと同じ。「あれどうなってる?」と催促される前に報告します。結果を先に簡潔に。悪い報告は先によい報告は後でします。

7. 紹介されたお客様にまず電話でそのお客様の意向をお伺いし、その結果を紹介くれた人に報告します。そして訪問してお話させて頂いた後にも、その結果を報告します。また、お客様から相談された件に関しては、お客様から問合わせがある前に返答の連絡をします。

8. 常に清潔感のある服装、頭髪、センスを感じる身だしなみに気を配り、心からの笑顔と挨拶で、全ての人に対して、同じ接し方をします。お客様が来社された時、全員でお迎えして、見えなくなるまでお見送りをします。

9. 初めて打ち合わせをしたお客様や初めて会ったお客様にハガキを書きます。電子メールのような便利な時代にあっては手書きのハガキ(手紙)は最も人の心を打ちます。また人脈をつくる上も大切なことです。

10. クレームはせっかく信用して頂いて、選んで頂いたお客様を失望させてしまったことによって生まれるものです。クレームが発生すれば、即時対応、即時報告し、メンバー全員が把握しなければなりません。クレームは会社は成長させるための業務改善のアイデアのもとです。

11. 明日やらなければならない仕事を6個思い起こします。それに重要度の大きい順に1〜6まで優先順位をつけます。それをメモ書きにし、ポケットに入れます。朝、メモを見てもう一度確認し、1番から順に片付けます。

12. アイデア、発想は自分の経験、体験からしか出ません。建築、デザイン、生活雑貨等、実際の物をたくさん見て、多くの書物や写真も見て、経験、体験を増やし、瞬時に良いものを見極めるセンスを養います。

13. いい仕事をするために、自分のポジションを越えて、気がついたことを意見として出し合います。図面、見積もり通りに工事を進めるだけでなく、お客様にとっても、会社にとっても、より良いものが出来ると思うことは、1週間に1回のデザインミーティング時にすすんで提案します。

14. 清掃時間は、朝の15分だけですが、いつお客様が来社されても、気持ち良くお迎えできるように、帰る時の机の上、目についたゴミ、使ったコップなど後始末を徹底します。

15. 大河内工務店のブランド価値を向上させるのは、メンバー一人一人の役割です。社外においても社内においても、大河内工務店の良き発言者、実践者として、メンバーとして誇りを持ち行動することに努めます。

完成した「クレド」と「クレドベーシック」は、名刺サイズに折りたためるカードに印刷し、当工務店の従業員と職人達に配布しました。このカードは、勤務時間中は全員が常に携帯しています。

大河内工務店のクレドカード。勤務時間中は全員が携帯している。
 

「クレド」と「クレドベーシック」の完成後は、毎月1〜2回、「クレド浸透ミーティング(※)」を実施しています。

クレド浸透ミーティング‥‥完成したクレドを社内に浸透させるミーティング。従業員が日々の仕事を共に振り返りながら、具体的にどのような行動が自分達の「クレド」・「クレドベーシック」ふさわしいのか、話し合う。

ファシリテーター(※)は、「クレドミーティング」導入時から現在に至るまで、WISHパートナーズ代表の赤木浩二氏に務めていただいてます。

ファシリテーター‥‥「クレドミーティング」の司会・進行役。参加者からの発言を掘り下げ、日々の具体的な行動に結び付く言葉を、参加者から引き出していく役割を担う。

受注棟数・売上高が前年比120%〜125%の伸びに

-- 「クレドミーティング」の導入効果を教えてください。

「クレドミーティング」の導入後は、受注棟数も売上高も、前年比120%〜125%の勢いで伸び始めました。

-- 「クレドミーティング」の導入と、受注棟数・売上高の伸び率アップとの間に、どのような関係がありますか。

「クレド作成ミーティング」で作成した「クレド(信条)」・「クレドベーシック(行動基準)」は、従業員が自分達で考えてくれた信条・行動基準です。ですので、どう行動すればこれらの信条・行動基準にかなうかは、従業員達が自ら考えてくれます。

毎月の「クレド浸透ミーティング」では、従業員が自分達の仕事を振り返り、どうすれば「クレド」・「クレドベーシック」で宣言してるような仕事ができるのか、自分達で話し合い、自分達で答えを見つけ、自分達で実行してくれます。

結果として、課題が発見され、共有され、解決されるスピードが、目に見えて速くなりました。

従業員達が、常に「どうすればお客様に心から喜んでいただけるのか」を第一に考え、行動し、協力し合ってくれるようになりました。

会社のベクトルと、従業員一人一人の意識のベクトルが、一つにまとまってきました。

社長の私は、従業員のマネジメントに時間やエネルギーを取られることが減り、将来を見据えた仕事に使える時間とエネルギーが増えました。

「クレド」や「クレドベーシック」に書いてある事がスタッフ一人ひとりに浸透していったのでイベントなどを通じて接した時の満足度があがり、口コミで伝わっていったのか、直接来社され、「家の相談をしたい」と言う方が格段と増えてくるようになりました。

イベントを増やすと言うことは一般の広告とは違い、より私たちの実際の姿をさらけ出すことになりますのでもし「イメージとは違う」となると逆効果に繋がります。そのためにも気持ちを揃えるということはとても重要になってくると感じます。

もちろん、クレドミーティングを導入したことだけが原因で受注棟数・売上高が伸びたわけではありません。しかし、クレドミーティングを導入したことが、業績の伸びに貢献したことは間違いないと考えています。

 


「課題が解決されるスピードが上がりました」(大河内孝社長)

  

家が完成して引き渡す時、お客様が「寂しい」と涙を流す

-- 他に、「クレドミーティング」を導入して変わったと感じることはありますか。

家が完成して引き渡す時の、お客様の様子が変わりました。

お客様がよく涙を流されるんですよ。「もうあなた達に会えなくなるのが寂しい」って。

別に、泣いてもらうことを狙っているわけではないんですよ。

「クレド」や「クレドベーシック」ができるまで、こういうことは、あまりなかったことです。

-- 「クレド」・「クレドベーシック」の完成と、お客様がよく涙を流されるようになったことの間に、どのような関係がありますか。

一つの例ですが、当社の「クレドベーシック」に、次のような項目があります。

私たちはいきなり「リビングは何畳いりますか?」とは聞きません。普段の生活シーンを思い浮かべながら詳細にお伺いし、住んでから家族が仲良く暮らすために楽しく集える空間、趣味やこだわりの空間をご提供いたします。

「いきなり『リビングは何畳いりますか?』と聞かない」というのは、家の間取り一つ決めるにも、「何畳」などという数字で決めるのではなく、「お客様ご一家にとっての幸せな暮らしのあり方」を具体的にお聞きした上で、まさにそのような幸せな暮らしができる間取りを提案させていただく、ということです。

それこそ、「奥さんは、取り込んだ洗濯物をすぐ畳んでしまうのか? それとも、どこかに一時的に置いておくのか?」ということまでうかがった上で、間取りを提案させていただいています。

だからこそ、完成した家で暮らし始めてから「ここをこうしとけばよかった、あそこをああしとけばよかった」ということにならない、本当にお客様の“幸せづくり”になる家づくりができるのです。

私達は、この「クレドベーシック」ができる前から、このような家づくりを心がけてきました。しかし、従業員達がこうして「クレドベーシック」の一項目として宣言してくれてからは、従業員達がますます熱心に、「お客様ご一家にとっての幸せな暮らしのあり方」をうかがい、そのような暮らしを実現する間取り、デザイン、部材を考えてくれるようになりました。

結果として、完成した家に対するお客様の満足度が向上したことはもちろんです。しかしそれ以上に、お客様ご一家の幸せを願う当社従業員の姿勢に、お客様が感動してくださるようになったのではないかと思います。だからこそ、家が完成した時、「もうあなた達と会えなくなるのが寂しい」と言って、お客様が涙を流してくださるのだと思います。

-- 他に、お客様の様子に変化はありましたか。

不思議なことなのですが、当社が建てた家のご評価や、従業員の対応へのご評価をうかがうと、「クレド」や「クレドベーシック」に書いてあるとおりの言葉が返って来るようになりました。お客様が、「おたくには親戚みたいに相談できる」ですとか、「『こんなこと無理かも知れないけど...』と思ったことまで実現してもらえた」といったことをおっしゃるのです。

うちの「クレド」や「クレドベーシック」を、わざわざお客様に説明しているわけではないんですよ。

従業員達が、「クレド」や「クレドベーシック」に心から従って仕事をしているからこそ、「クレド」や「クレドベーシック」の言葉が、そのままお客様の言葉として返って来るのだと思います。  

社長はほぼ見てるだけ。従業員達が、想像以上に活発に発言してくれた

-- 「クレドミーティング」の導入は、どのようなスケジュールで進みましたか。

当社での「クレドミーティング」の導入は、次のスケジュールで進みました。

2009年3月 WISHパートナーズに「クレドミーティング」導入を相談
 
2009年4月 導入契約
 
2009年4月 ファシリテーターから社長への事前ヒアリング
 
2009年5月 「クレド作成ミーティング」実施

「クレド」・「クレドベーシック」が完成

 
2009年6月 「クレドカード」完成

以後、従業員と職人は常時「クレドカード」を携帯

 
2009年6月
〜現在
「クレド浸透ミーティング」を毎月1〜2回実施

-- 「クレド作成ミーティング」は、どのようなスケジュールで進みましたか。

「クレド作成ミーティング」は、次のようなスケジュールで進みました。

5月*日 ファシリテーターから参加者に「事前質問シート」を配布  
 
5月*日 「クレド作成ミーティング(合宿)」
1日目
  • 社長から趣旨説明
  •  「事前質問シート」への回答に基づき、“自分達が目指したい仕事のあり方”、“自分達が陥りたくない仕事のあり方”を討論
 
5月*日 「クレド作成ミーティング(合宿)」
2日目
  • 1日目に話し合った内容を、簡潔でわかりやすく、社外からも支持される表現に文章化
  • 「大河内工務店のクレド」が完成
 
5月*日 「クレド作成ミーティング」
3日目
  • 「クレド」の文言を一つ一つ取り上げ、 「それは具体的にどうすることなのか?」を討論
 
5月*日 「クレド作成ミーティング」
4日目
  • 3日目に話し合った内容を、簡潔でわかりやすく、社外からも支持される表現に文章化
  • 「大河内工務店のクレドベーシック」が完成

 -- 大河内社長は、「クレド作成ミーティング」でどのような役割を果たしましたか。

社長の私は、ほとんど見ているだけでした。議論が望ましくない方向に行くようなら、経営者として意見させてもらわないといかんなと思っていたのですが、実際には、そんな場面はほとんどありませんでした。

-- 従業員のみなさんは、「クレド作成ミーティング」でどのような様子でしたか。

従業員達は、私が想像していた以上に、活発に発言してくれました。

討論が始まるまでは、うちの従業員達から意見が出るのか、正直、不安でした。しかし、まったくの取り越し苦労でした。普段ひょうひょうとしている従業員が、仕事への熱い思いを語ってくれたりして、彼ら・彼女らの意外な一面を知ることもできました。

発言の内容も、私の期待をはるかに超えるものが多かったです。当社のクレドにある「日本一気持ちよい工務店を目指す」という言葉は、「クレド作成ミーティング合宿」2日目の朝に、当時入社5年目39歳だった建築部長が提案してくれたものでした。私自身、当社のビジョンを表現する言葉を数多く考えてきましたが、この言葉は、私がそれまでに考えたどの言葉より、優れた言葉でした。彼の口から「日本一気持ちよい工務店」という言葉が出た時、その場にいた全員が「それや!」という表情になったことを、今でも覚えています。

-- ファシリテーターは、討論中はどのような役割を果たしていましたか。

ファシリテーターの方は、従業員達の発言を引き出し、掘り下げ、洗練させる役割を果たしてくれました。

-- 「発言を引き出す」とは、どのようなことでしょうか。

ファシリテーターの方は、討論中、次から次へと絶妙の問いかけをしてくれました。あの問いかけがなければ、うちの従業員達は、あれほど活発に発言してくれなかったはずです。

また、ファシリテーターの方があくまで「問いかけ役」に徹してくれたからこそ、本当に従業員達の言葉でできた、従業員達が心から自分達のものと思える「クレド」・「クレドベーシック」ができたのだと思います。

-- 「発言を掘り下げる」とは、どのようなことでしょうか。

たとえば従業員が「気持ちのいい挨拶が大事だと思う」と発言すると、ファシリテーターの方は、「『気持ちのいい挨拶』って、具体的にはどんな挨拶でしょうね?」と掘り下げてくれました。

そうやって従業員達に、具体的な行動のレベルまで掘り下げて考えさせてくれたおかげで、単なるお題目ではない、本当に従業員達が日々の仕事の指針にしてくれる「クレド」・「クレドベーシック」ができました。

-- 「発言を洗練させる」とは、どのようなことでしょうか。

内容としては正しくても、社外の方には理解しにくい言葉とか、社外に出すには恥ずかしい言葉って、ありますよね。「クレド」・「クレドベーシック」の言葉として従業員から提案された言葉が、そういう言葉だった時は、ファシリテーターの方が、「その表現では社外の方に見せにくくないですか? もっといい言葉はありませんか?」と問いかけてくれました。

おかげで、社外に出しても恥ずかしくない「クレド」・「クレドベーシック」が完成しました。


「クレドに書いてある通りのことを、お客様が言ってくださるんですよ」(大河内孝社長)

 

「クレド浸透ミーティング」で、アイディアの実現と課題の解決が加速

-- 「クレド浸透ミーティング」の実施状況を教えてください。

当社では、「クレド浸透ミーティング」を毎月1〜2回実施しています。

「クレド浸透ミーティング」のファシリテーターも、「クレド作成ミーティング」から引き続き、WISHパートナーズ代表の赤木氏に依頼しています。

-- 「クレド浸透ミーティング」では、どのようなことを話し合っていますか。

「クレド浸透ミーティング」では、「クレド」・「クレドベーシック」の各項目を、全員が、日々の仕事で実践できたかどうかを確認し合っています。課題が明らかになった時は、その課題を、どうやって解決するかまで話し合います。新しいアイディアが浮かんだ場合は、そのアイディアを、誰がいつまでに実行するかまで話し合います。

-- 「クレド浸透ミーティング」の実施効果を教えてください。

「クレド浸透ミーティング」を実施するたびに、「クレド」・「クレドベーシック」が会社の血肉になっていくと感じます。作成しただけで終わっていたら、せっかくの「クレド」・「クレドベーシック」も、単なる飾り物になっていたかもしれません。

また、「クレド浸透ミーティング」のおかげで、アイディアが実現するスピードや、課題が解決するスピードが、確実に速まっています。ミーティングの中で従業員達からアイディアや課題が出されると、ファシリテーターの方が「どうすれば実現(解決)できると思いますか?」「誰がやりますか?」「いつまでにやりますか?」と問いかけてくれるので、従業員達も、自分の頭をふりしぼって、実現方法や解決方法を考えてくれるのです。方法や期限が具体的に決まる上に、従業員達自身が決めた方法や期限なので、上から命令される場合に比べて、はるかに確実に達成されていくのですね。

-- 「クレド浸透ミーティング」と、通常の社内ミーティングの違いを教えてください。

ファシリテーターという第三者の方が入るかどうかが大きな違いですが、それだけではありません。

社内ミーティングは、通常の業務の一部という感じです。「クレド浸透ミーティング」は、社内ミーティングより、ずっとリラックスした雰囲気で行われます。通常の業務とは違った雰囲気の話し合いだからこそ、普段はなかなか出て来ないアイディアや課題が浮かび上がるのです。

ファシリテーターの方も、「クレド浸透ミーティング」が社内ミーティングとはまったく別の場になるように、様々な工夫をしてくださっています。


リラックスした雰囲気で行なわれる「クレド浸透ミーティング」
 

導入を迷っている経営者へのアドバイス

-- 最後に、「クレドミーティング」導入を検討している経営者の方に向けて、何かアドバイスをお願いします。

クレドの必要性を感じてはいても、クレドづくりに取り掛かれずにいる経営者の方にとって、「クレドミーティング」を導入することで得られる価値は、決して小さくないと思います。

私自身、まだ社員もいなかった10年ほど前、雑誌でリッツカールトンのクレドについて読んだ時から、将来社員が増えた時は、間違いなくこういうものが必要になると思ってきました。最初の社員を雇った7年前には、クレドづくりのセミナーにも参加しました。実際に社員が増え、全員が価値観を共有する必要性を痛感するようになってからは、クレドを作りたいという思いがますます高まっていました。しかし自分では、クレドづくりに取り掛かることさえできませんでした。

そのクレドが、WISHパートナーズの「クレドミーティング」を導入して、数週間で完成しました。社長からの押し付けではない、従業員達が「自分達のクレド」と思えるクレドができました。「クレド浸透ミーティング」での継続的なフォローにより、クレドが会社の血肉になりました。これも、クレドづくりについて知識のある、第三者的な立場の方にファシリテーターを務めていただいたおかげです。

いわゆる「人に関する悩み」を抱える経営者の方なら、会社の規模の大小を問わず、導入を検討に値するプログラムだと思います。

従業員のみなさんにもうかがいました。
クレドミーティングは、どのように役立っていますか?

 

山田勉さん 建築部長・家づくりアドバイザー

 
 

みんなの仕事のレベルが上がりました。「みんなが『日本一気持ちのいい工務店を目指す』という意識で仕事をするようになったおかげだと思います。「町医者のような存在になる」とか、「催促される前に報告する」とか、クレドベーシックに書かれていることは、やっぱり日常的に意識しますね。「クレド浸透ミーティング」で誰かが何か提案すると、ファシリテーターの方が具体的な話に落とし込んでくれるので、やりたいと思ったことが早く実現するようになりました。
 

 
 

香川敏彦さん 現場監督・家づくりアドバイザー

 
 

迷った時どう行動すればいいか、すぐ判断できます。「クレドベーシック」の言葉はすごく具体的ですし、「クレド浸透ミーティング」でも、“具体的にどう行動するか”まで話し合っているからです。お客様から何かご要望があった時は、どうすれば実現できるかをみんなで考えるようになったので、お客様から「ここまでしてくれるんや」と感動していただけることが増えました。現場でも職人さんが「誰が来ても気持ちのいい現場にする」ということ意識してくれるようになったので、より整理整頓された現場環境になってきました。
 

 
 

国土美樹さん カフェ&ギャラリー「木きん堂」その他いろいろ担当

 
 

人と出会ったり接したりするいろいろな場面で、気持ちのいい笑顔、気持ちのいい対応を心がけるようになりました。電話一本も心をこめて、丁寧にかけるようになりました。「日本一気持ちのいい工務店を目指す」というクレドは、普段から意識しています。ファシリテーターの赤木さんの、「クレド浸透ミーティング」での“つっこみ”はすごいです。こちらが何を言っても、「それはなんで?」ってつっこまれて、そのたびに「え、なんでやろ?」って考えさせられます。赤木さんに問いかけられることで、自分の中がどんどん掘り下げられる感じです。
 

 
 

大河内久子さん 総務・経理担当

 
 

「クレド浸透ミーティング」を開くたびに、新しい目標ができます。この前の「クレド浸透ミーティング」では、もっとセンスを磨くために、雑誌とかも意識して見て、服装のセンスも磨いていこうという話になりました。ファシリテーターの赤木さんは、こちらが何を言っても、どんな言葉で言っても、きちんと受け止めて、真摯に考えてくださるので、「クレド浸透ミーティング」ではほんとに構えることなく思ったことを伝えられます。『こんなこと言ったら笑われるかな』とかそういことを、ぜんぜん考えなくていいんです。「クレド浸透ミーティング」はいつも楽しみで、時間があっという間に過ぎます。
 

 
 

三好優子さん ガーデンエクステリア担当・カルチャースクール紅茶教室講師

 
 

少ない人数で、人数以上のことができていると感じます。みんなの気持ちが、同じ方向を向いているからだと思います。いろいろな会社やお店に勤めたことがありますが、こういう、“気持ちの方向を一つにしていく”ミーティングをしている会社ははじめてです。働いているみんなの気持ちの方向がバラバラだと、打ち消し合ってゼロになってしまうこともあると感じていました。この会社ではまったくそういことがないので、とても気持ちよく働けます。それがお客様にとっての気持ちよさにもつながっていると思います。
 

 
 

木浦亮太さん 現場監督(研修中)

 
 

お客様に幸せになってもらうためのアイディアを、いつもみんなが考えています。「おうちの誕生日」と書かれたホワイトボードに家の竣工日を書いていったり、家のデザイン性をもっと高めるためにデザインミーティングを開いたり、お客様への手紙をパソコンではなく手書きで書いたり‥‥。これも定期的に「クレド浸透ミーティング」があるからだと思います。この会社に入社が決まって、はじめて「クレド」と「クレドベーシック」を見せてもらった時、自分が仕事で大切にしていきたいと考えていたことと重なることが多くて、この会社の一員になれてよかったと思いました。
 

 
 

石川瞳さん 設計(研修中)

 
 

会社中が「気持ちのいい工務店」を目指していると感じます。この会社に入社が決まって、はじめて「クレド」と「クレドベーシック」を見せていただいた時、「『日本一気持ちよい工務店!』を目指します」という言葉が、とても印象に残りました。その時、お客様にとって気持ちがいいことは、働く側も気持ちよくなかったらできないんだろうなと思ったのですが、この会社では、本当にみんなが気持ちよく働いているなと感じます。お客様をお見送りする時、お客様が見えなくなるまで手を振るのをはじめて見た時は、「ここまでするんだ!」ってびっくりしたのですが、今では自分でもそうするのが自然になりました。
 

 

 


「クレドで『日本一気持ちのいい工務店』目指します!」(大河内工務店のみなさん)

  

大河内工務店様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をお聞かせいただき
ありがとうございました。

 

※ 取材日:2011年6月
※ 大河内工務店のWebサイト
※ 取材:カスタマワイズ